トラヴェル・ジョカトーレ


誰よりも勉強をして賢くなる努力をした。
誰よりも観察をして少しの変化にも気付くことができるようになった。
天性の才能からか、何故だか彼は勝負強かった。
そんな彼が足を踏み入れたのはギャンブラーとしての世界だった。
勝てば天国負ければ地獄というスリルと、持ち前の勝負強さに観察眼、頭の回転の速さという武器で彼はプロギャンブラーとして生きていくまでになった。
負けない自信があった。バレない自信もあった。
適度に負けて適度に勝てば裕福な暮らしも続けられた。
ギャンブラーとしての名声もあった。
そのはずだったのだが。

ある時彼のイカサマがバラされてしまった。
その時からトラヴェルの人生は下降の一途を辿る。
どこのカジノも出禁になり、イカサマを軽蔑され侮辱されることになった。
どのギャンブラーもディーラーもイカサマはして当たり前だというのにだ。
なんとか今までのものを取り戻そうと頑張った。
が、神はそれを許さなかった。
誰かが言った。幸せの後には同等の不幸が訪れる。
誰かが言った。悪は裁かれねばならない。
トラヴェルは他の者の悪も背負って全てを失ってしまった。

気付くと彼はとある屋敷の前にいた。
手には招待状。
ゲームに勝つと賞金が手に入るらしい。
このオレをゲームに誘うなんて、なかなか粋な招待主じゃないか。
いいだろう、ノッてやる。
これがオレの最後のギャンブルだ。

星屑の欠片

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