ビスク・マリオン
彼女は人形師の父とその妻との間に生まれた。
幸せだった家庭は父親の浮気によって壊れていく。
父親はとある歌手に惚れてしまい、稼ぎも生活も彼女に費やしていく。
そんな父親への愛情が冷めていく母親。
そればかりかその間に生まれたビスクにさえも次第に冷たくなっていく。
ある日両親はビスクを置いて出ていってしまった。
ビスクには「すぐ帰るからいい子でお留守番していて」と言い残して。
ビスクは素直に言われたことを守り続けた。十数年も。
親の仕事しか知らないビスクは父と同じように人形師となった。生きるために仕方なく。
だが技術が足りない。全て独学なためにいい人形が作れない。
教わるにも人は信じられない。話したくもない。声を聞かせたくもない。だって血の繋がった家族でさえ最低な嘘をつくのだから。
そんな彼女はあることに気付いた。
技術がなければ素材を良くすればいいのではないか。
しかし良い素材は高い。良いものを買えるほど稼ぎはない。
ならば…と彼女は罪に走る。
金持ちの家に忍び込み、その装飾品や衣服を盗む。
それをバラして素材とする。
今までで一番素晴らしい人形が出来上がった。
その人形の評判は良く、高い値で飛ぶように売れた。
彼女は同じことを何度も繰り返した。
いつしか自分と人形達だけの楽園を作って静かに暮らすことを夢見て。
そんな時に荘園からの招待状が届いた。
勝てば賞金が手に入る。
もう地道に稼ぐ必要もなくなる。
多額の賞金欲しさにビスクはゲームへと参加することを決意した。
手につけたパペットの名前は
右手がシモンで男、左がシュミットで女
両親の名前だとか。
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