真夜中の夢、過去の悪夢(ユヴェーレン)
微グロ表現注意
「あぁあああぁぁぁあぁぁあ!!」
乱れる呼吸。
真っ暗な部屋。
大丈夫、ここにはユヴェ一人しかいない。
「嫌な夢……」
忘れたくても忘れられない。
忘れたいけど、忘れてはいけない。
左目に埋めた宝石……これは忘れてはいけないの。
ユヴェは復讐しなくちゃいけないんだから。
呼吸を整え、もう一度寝よう。
まだ真夜中なんだから。
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『君の目もーらいっ♪』
そう言って女はユヴェーレンの左目に指を伸ばす。
抵抗出来ない彼女は激しい痛みに叫びをあげることしか出来なかった。
この任務は簡単だったはずなのに、まさかこんな奴がいるなんて。
だからユヴェ一人で実行したのに。
予想外だった。
『イイ声で鳴くねー、ゾクゾクするよぉ』
女は抜き取ったものに口づけをしながら微笑む。
朱く染まった指の間にある、自分の眼球を見ながらユヴェーレンは声を絞り出す。
『へん……たい……。返し……て……』
熱い。眼孔が熱い。灼かれているかのように。
『変態とは失礼だなぁ。でもこれは返さないよ。私に傷をつけた君の一部だからね』
無邪気な笑顔をユヴェーレンに向け、女は更に続ける。
『私物覚え悪いからさー。体の一部がないと覚えていられないんだよねぇ。安心して? 次会った時はちゃんと殺してあげるから。またいつか会おうねっ』
『ま……』
ユヴェーレンの意識はそこで途切れる。
待てと言うことも出来ず、ただ左目の痛みに耐えながら女が去るのを見ることしか出来なかった。
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「次会った時はユヴェが殺してあげるんだから」
ユヴェは宝石に音が鳴るほど力強く爪を立て、普段見せることのない笑顔をみせた。
▼真夜中の夢・過去の悪夢
≪忘れないよ。あの痛みだけは。あの屈辱だけは。アイツにもユヴェの気持ちと痛み、味わわせるまでは≫
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